さて、話を元に戻そう。 夏のある日、いつもどおり、Bさんは試合に臨んだ。 その日は、朝からうだるような暑さだった。 白熱した試合の中、玉のように汗が噴き出す。 Bさんは3塁の守備についていたのだが、外野手からの返球がそれた。 次の瞬間、そのボールを捕ろうとしたBさんと、走ってきたランナーが、交錯した。 相手の手が帽子のつばにあたり、勢いよく帽子が飛んだ。 普段なら、帽子が脱げたって、なんともないはずだった。 編み込み式のかつらと違い、全面接着のかつらである。そう簡単には とれたりしない。 だが、汗のためゆるんでいたBさんのかつらは、見事にべろんと剥がれたのだ。 フロントだけがめくれあがり、ちょんまげみたいな頭になっていた。 倒れ込んだBさんはすぐに起きあがったが、その時、みんなが倒れた自分の顔を見つているので、 出血でもしたのかと思ったという。 自分の頭に手を当ててみて、初めて事態がわかった。 あわててめくれた部分を元に戻したが、時すでに遅し... |